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Background Story
FILE_TML-001

Tomorrowland

未来へ繋ぐスペースポートと、星空の記憶
File No. 007 Story · TDL Reading · 7 min
Space Mountain Final Ignition Day View
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トゥモローランドが背負う宿命

東京ディズニーランドの右奥に広がる、白く幾何学的な未来都市「トゥモローランド」。このエリアは、ファンタジーランドやウエスタンランドといった「完成された過去」を描く他の土地とは異なり、「同時代依存(Contemporary Dependency)」という美しくも過酷な宿命を背負っています。

1955年にアメリカで最初のディズニーランドが誕生し、このエリアが作られた際、デザインの基盤となったのは当時のオプティミズム(楽観主義)—— 「未来への希望」でした。しかし技術が進歩し、かつて夢見た「ロケット」や「宇宙旅行」が現実のものとなった瞬間、未来都市は時代に追い越され、たちまち「色褪せた過去の残像」へと陳腐化してしまいます。「デザインは更新され続けなければならない」。この絶対的な使命を背負っているからこそ、トゥモローランドは絶えず自己変革を迫られ、常に最新の未来を模索し続ける、最もエネルギーに満ちた土地なのです。

この「同時代依存」は、トゥモローランドを読み解くための視点でもあります。古い時代を舞台にするエリアでは、歴史的な様式や物語そのものが世界観を支えます。一方、未来を描くエリアでは、何を未来らしいと感じるかが時代によって変わります。だからこそ、建物やアトラクションの変化は単なる設備更新ではなく、人々が未来に託してきた期待の変化として見ることもできます。

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スペース・マウンテン:直線の過去と、曲線の未来

1983年の開園からエリアの絶対的な象徴として君臨してきた、初代「スペース・マウンテン」。この巨大な純白のドームは、宇宙管制センターであり、未知の宇宙エネルギーを回収する「ステーション」としてのBGSが設定されています。

ゲストが乗り込むのは、ステーションにドッキングされている「新型ロケット」です。搭乗プラットフォームで未知の宇宙エネルギーがロケットへと急速充填され、そのエネルギーを一気に解放することで、カウントダウンとともにロケットは大気圏を脱出し、超高速の宇宙旅行へと旅立ちます。2024年7月31日に多くのゲストに惜しまれながら一度クローズし、現在は2027年のリニューアルに向けて新たなロケットの準備が進んでいます。

この物語の面白さは、ドームを単なるライドの建物ではなく、宇宙旅行を支える運航施設として捉えられるところにあります。搭乗場所や頭上のオブジェクト、発進を思わせる光の演出が一つの流れをつくり、ゲストは乗車前から「これから宇宙へ向かう乗客」という気分に導かれます。施設の外観だけでなく、内部の設備を物語の一部として見ると、スペース・マウンテンの世界観がより立体的になります。

Space Mountain Night View
Space Mountain Queue Interior Station Object
Photo Memoir — ステーションを照らした「青い光」

上の写真は、かつてドーム内の搭乗プラットフォームの頭上に吊り下げられていた巨大な「宇宙船(エネルギーカプセル)のオブジェクト」です。

このオブジェクトには、ロケットが旅立つたびに消費された宇宙エネルギーを自動吸収し、次の出発に備えて再充填するという装置としてのBGSが設定されていました。青く美しく脈打つこの光は、これから未知の暗黒宇宙へと旅立つゲストの緊張感とロマンを静かに引き立てる、スペース・マウンテンの魂とも言える象徴的な存在でした。

New Space Mountain Concept Art
2027年の未来:滑らかな曲線が描く、現代の宇宙像

1983年に誕生した初代スペース・マウンテンは、当時の先進性をイメージした「直線」や幾何学的な意匠を多用したデザインが特徴でした。一方、2022年に公式発表された2027年開業予定の新スペース・マウンテンのコンセプトアート(上の画像)を見ると、対照的に滑らかで流れるような「曲線」を基調としたデザインへと生まれ変わることがわかります。

これは、劇的な技術革新を経た現代の私たちが思い描く「未来のイメージ」を体現しているからです。時代とともに人類が描く未来の姿は変わり続け、そのスピードは日々加速しています。直線から曲線へ。このデザインの変遷こそが、トゥモローランドが背負う「同時代依存」という宿命を最もよく体現しているのです。

Concept art only. 画像はイメージです。 ©Disney
フランス・パリ:過去の人が夢見た「レトロフューチャー」

フランスのディズニーランド・パリにあるスペース・マウンテンは、東京の「白い近未来的なドーム」とはまったく異なり、「レトロフューチャー(かつての人々が思い描いた未来)」をテーマにしています。19世紀のフランスのSF作家ジュール・ヴェルヌの『月世界旅行』の世界観(スチームパンク)がベースとなっており、ドーム全体が真鍮やブロンズで覆われています。

宇宙船を打ち出すため、ドームの横には「コロンビアード大砲」と呼ばれる巨大な大砲が設置され、大爆発の白煙とともにゲストを月世界へと撃ち出すという、クラシックでロマンチックな宇宙旅行の物語が今もなお語り継がれています。

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スター・ツアーズ:スタースピーダー1000の銀河旅行

日々、スタースピーダー1000が銀河の様々な惑星へとフライトを続けている、星間旅行会社「スター・ツアーズ」。

ゲストが乗り込む「1401便」は、出航前の点検中に整備用ドロイドのC-3POが不注意からパイロット席に居座ったまま自動出発許可が下りてしまいます。さらに、宇宙港で帝国軍に強制停船させられ、機内に「反乱軍のスパイ(乗船しているゲストの顔写真)」が潜んでいることを告げられます。スパイを守り、安全な反乱軍の秘密基地へと届けるべく、C-3POは自動操縦のまま銀河の様々な惑星へと超空間ワープを繰り返す、命がけの緊急逃避行へと巻き込まれていくのです。

本来は銀河を旅する観光便だったはずが、出発直後から追跡劇へと変わることで、ゲストは物語を外から眺める観客ではなく、事件に巻き込まれた乗客になります。スクリーンに映し出されるゲストの顔写真も、その場にいる人をストーリーへ直接組み込む仕掛けです。C-3POの慌てた対応と、状況を制御しきれないフライトの組み合わせが、宇宙旅行のスリルとコメディを同時に生み出しています。

また、スター・ツアーズの旅は、決まった一つの惑星だけを訪れる物語ではありません。行き先や遭遇する場面が変わることで、同じアトラクションでも銀河のどこへ連れていかれるかという期待が生まれます。乗車前の案内や機内の設備も、ゲストが「映画の世界にある旅行会社の便に乗る」という設定を受け入れるための大切な要素です。

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モンスターズ・インク:笑い声あふれる停電の夜

映画『モンスターズ・インク』のその後を描いた「モンスターズ・インク"ライド&ゴーシーク!"」。

映画のラストでモンスターズ社は、「悲鳴(恐怖)」から得ていたエネルギーを「笑い声」に変換するクリーンな方式へと転換しました。新社長のサリーは、遊びに来た人間の少女「ブー」を楽しませるため、マイク・ワゾウスキが発案した「フラッシュライトかくれんぼゲーム」を開催します。

ゲーム開始とともに社内のメインパワースイッチがオフになり、モンスターシティは夜の停電状態へと包まれます。ゲストはセキュリティトラムに乗り込み、ヘルメットに描かれた「M」のロゴを狙ってライトを照らすことで、各所に隠れているモンスターたちを見つけ出すゲームに参加するのです。

ここでは、映画で描かれた「人間の子どもは危険かもしれない」というモンスターたちの認識が、ブーとの交流を経て変化した後の世界が舞台になっています。人間を怖がらせる仕事から、笑わせることでエネルギーを生み出す仕事へ。会社の目的が変わったからこそ、施設内で行われるのも恐怖を集める作業ではなく、ブーを楽しませるための遊びなのです。

ライド中は、ライトを照らして隠れているモンスターを探すという行為そのものが、ゲストの役割になります。見つける対象はただの飾りではなく、停電した社内でゲームに参加している登場人物たちです。映画の設定と遊び方がつながっているため、得点を狙う楽しさと、モンスターたちの様子を見つける楽しさの両方を味わえる構成になっています。

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バズ・ライトイヤー:帝王ザーグと結晶の遺産

2024年10月に20年の歴史を終えた「バズ・ライトイヤーのアストロブラスター」。このアトラクションは、おもちゃのバズが主人公として活躍する劇中劇アニメの世界を舞台にしていました。

Buzz Lightyear's Astro Blasters Entrance

悪の帝王ザーグは、おもちゃたちの万能エネルギー源「クリストリック・フュージョン」バッテリーを強奪し、銀河を支配する巨大兵器の稼働を目論んでいました。この危機を阻止すべく、私たちは新人レンジャーとして緑色の光線銃「アストロブラスター」を手に、二人乗りの「XP-38型スペースクルーザー」に乗り込んでプラネットZへと突入しました。

このアトラクションでは、ゲスト自身がスペース・レンジャーの任務に参加することが大きな特徴です。ストーリーを聞くだけでなく、乗り物に備えられた光線銃でターゲットを狙い、ザーグの計画を阻止するために行動します。つまり、ライドの進行とゲームの操作が一体になっており、物語の中で自分が何をすべきかが明確です。

壁や設備に配置されたターゲットを探すことは、得点を競う遊びであると同時に、敵の拠点を調査しているような体験にもつながります。特に「Z」のマークはザーグの存在を視覚的に印象づけるモチーフです。乗車中は高得点を狙うだけでなく、ターゲットがどこに配置され、どんな場面で現れるかにも注目すると、アトラクションの作り込みを違った角度から楽しめます。

Imagineering Detail — 二つの宇宙船

アトラクションの入り口の天井に飾られていた宇宙船は、ゲストが乗るXP-38型スペースクルーザーではなく、バズ自身が愛用する「42型スタークルーザー」であるという、イマジニアによるマニアックなビジュアルの描き分けがなされていました。クローズ後、この場所は『シュガー・ラッシュ』のゲーム世界へと生まれ変わりますが、かつて銀河の平和を守るためにアストロブラスターを握りしめ、ザーグの「Z」マークを狙い続けたあの記憶は、トゥモローランドの歴史の一部として今も静かに眠っています。

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スティッチ・エンカウンター:宇宙連邦の広大な監視網

シアター型アトラクション「スティッチ・エンカウンター」。この施設は、宇宙の秩序を守る「宇宙連邦(Galactic Federation)」によって設置された最先端の「スティッチ・モニタリング・ステーション(スティッチ監視宇宙ステーション)」です。

いたずら好きで手に負えないエイリアン「試作品626号(スティッチ)」が宇宙のあちこちでトラブルを起こさないよう、宇宙連邦のキャストたちが巨大なスクリーンを通じて24時間監視を続けています。ゲストはこの監視ステーションへの「一般見学者」として招き入れられますが、やがてスティッチがスクリーン越しにいたずらっぽくゲストの顔を覗き込み、リアルタイムで会話やゲームを始めてしまう——テクノロジーと宇宙のユーモアが融合した、思わず笑みがこぼれるBGSが設定されています。

この施設の体験を特徴づけているのは、スクリーンの中の出来事を一方的に見るだけでは終わらない点です。スティッチが客席にいるゲストへ話しかけたり、反応を見ながらやり取りを続けたりすることで、シアター全体が一つのコミュニケーション空間になります。毎回同じ映像を再生するだけのショーとは異なり、その場にいる人の存在が体験の一部として取り込まれるのです。

また、宇宙連邦の監視施設という設定と、スティッチの自由奔放な性格には、はっきりした対比があります。高度な技術で行動を管理しようとしても、スティッチはその枠組みを軽々と飛び越えてしまう。施設の機能を説明するSF的な世界観と、予測不能なキャラクターの振る舞いが組み合わさることで、技術そのものを笑いに変える物語になっています。

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