ファンタジーランドの片隅にそびえ立つ、重厚で古びたゴシック調の洋館。そこには、世界中から集まった999人の幽霊たちが、1000人目の仲間を待ちわびながら暮らしています。恐怖とユーモアが交差するこの館の知られざる物語を紐解きましょう。
東京ディズニーランドのホーンテッドマンションは、童話の世界を模したファンタジーランドにあります。アメリカのパークとは異なるエリアにある点から、なぜこの場所が選ばれたのかを考察するファンもいます。
日本の怪談文化や、隣接するウエスタンランドとの景観のつながりを理由に挙げる見方もありますが、配置の理由が語られているわけではありません。「緩衝地帯」として意図的に配置された、あるいはイマジニアが特定の文化的背景を見抜いて決めた、といった話も、ファンの間で語られる考察のひとつです。
ファンタジーランドの片隅にたたずむ、ゴシック風の洋館。館には999人の幽霊たちが幸せに暮らしていて、1000人目の仲間になる人間が訪れるのを待っています。ゲストはゴーストホストの案内で、「ドゥームバギー(不吉な乗り物)」に乗って館内を巡ります。
配置の理由については、アメリカの書籍『ホーンテッドマンションのすべて』(ジェイソン・サーレル著)を引いて、「日本では幽霊やお化けが、おとぎ話や寓話に分類されることが多いから」という見方が語られることがあります。おとぎ話の世界であるファンタジーランドに置くのが、日本ではふさわしかったという考え方です。ただし、これは物語の設定ではなく、あくまでファンの間で知られている見方のひとつです。
このアトラクションの最大の魅力は、「決して誰も傷つかない、安全で楽しい死後の世界」であることです。前半部分は、誰もいない薄暗い廊下や不穏なライティングが続く「心理的な恐怖」の領域です。しかし、霊媒師マダム・レオタの降霊術のシーンを境に、館の空気は一変します。
後半は、名曲「グリム・グリニング・ゴースト」とともに亡霊たちが墓地で陽気に歌い踊る「ユーモアと笑い」の領域へと移行します。この見事な感情のコントラストこそが、ホーンテッドマンションの黄金比です。
ホーンテッドマンションの前半には静けさや不穏な音が印象に残る場面があり、音響が恐怖の感じ方に影響していると考えるファンもいます。日米の文化差や特定の周波数を意図的に設計したといった話も語られますが、真偽のほどは定かではありません。あくまで演出を体験した人の印象や解釈のひとつです。
なお、東京版では日本人が怖がりそうな低い音程のBGMが採用された、という話も耳にしますが、出どころははっきりしません。上のコラムの音響心理の話とあわせて、ファンの間で語られる見方として楽しむのがよいでしょう。
館には「ゴーストレジストリー(幽霊籍)」と呼ばれる古い記録が残されており、登場する亡霊たちにはそれぞれ細かな人生のドラマが秘められています。
ストレッチングルームの肖像画には、ワニの潜む川の上で傘を片手に綱渡りをする女性が描かれています。サリー・スレーターという名で知られる人物ですが、肖像画から直接読み取れるのは、傘を片手に綱渡りをする女性の姿です。
屋根裏部屋には、手斧を持つ花嫁の姿が描かれています。コンスタンスという名前や、結婚した相手を手斧で殺害したという詳しい背景は、海外のファン資料などで知られる物語です。絵そのものが見せてくれるのは、手斧を携えた花嫁の姿だけ。その先は、ゲストの想像にゆだねられています。
アトラクションの終盤には、ゲストのドゥームバギーに乗り込もうとする3体のヒッチハイクゴーストが登場します。フィニアス、エズラ、ガスという名前やそれぞれの経歴は、海外の関連資料で知られる情報です。
ヒッチハイクゴーストの3人の名前(フィニアス、エズラ、ガス)は、ファンの間で定着した通称とされています。アトラクションの終盤、彼らはドゥームバギーに乗り込み、ゲストについてこようとします。
毎年秋から冬にかけて、ホーンテッドマンションは特別な魔法に包まれます。ティム・バートン監督の映画『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』をモチーフにしたスペシャルプログラム「ホリデーナイトメア」です。
ハロウィーン・タウンの王であるジャック・スケリントンがサンタクロースに扮して館を訪れ、999人の幽霊たちのために不気味で楽しいクリスマスの飾り付けを施します。ホラーとクリスマスの温かさが同居する季節限定の魔法です。
ホーンテッドマンションは、各国の文化的土壌に合わせて姿を変え、世界中のディズニーパークに存在しています。パリの「ファントム・マナー」では、花嫁メラニーを巡る凄惨な悲劇を描く、ヨーロッパ向けのダークな心理ホラーへと深化しています。
香港ディズニーランドでは、中国の死生観に配慮し、幽霊要素を完全に排除した「ミスティック・マナー」として存在しています。この館の主であるヘンリー・ミスティック卿は、ディズニーシーとも深い関わりを持つ秘密結社「S.E.A.」の著名なメンバーです。
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